パートナーは、自分の中の“見たくない部分”を映す鏡
夫婦で長く一緒にいると、相手の言動にどうしようもなく腹が立つ瞬間があります。
私にも、忘れられない出来事がありました。
ある時、夫が仕事でヘッドハンティングを受けたのに、ほとんど調べもせずに断ったことがありました。
その話を聞いた瞬間、胸の奥がカーッと熱くなって、驚くほど怒りが湧き上がってきたんです。
「どうせ自信がないんでしょ?」
「チャレンジする気がないんでしょ?」
「給料が上がるなら、家族のために頑張ってくれてもいいのに…!」
そう思うたびに、悔しさや失望がどんどん溢れてきて、しばらくの間、気持ちが全然おさまりませんでした。
あの時の私は、完全に「夫が悪い」と決めつけていました。
でも、時間が経って、ふと冷静に自分の心を覗いてみると、あることに気づいたんです。
実はあの頃、私自身も「一歩を踏み出すこと」をすごく怖がっていました。
自信がなくて、勇気がなくて、新しい挑戦にブレーキをかけていたのは……夫ではなく、私自身だったのです。
夫の“保守的な姿勢”に見えていたものは、私の中の「本当は変わりたいのに、動けない弱さ」そのものでした。
それを鏡のように夫に映し出されて、私はその“自分の影”に腹を立てていたんですね。
パートナーって不思議です。
自分が見たくない部分ほど、相手が鮮やかに見せてくる。
もちろん、怒っている最中にこんなことを考える余裕なんてありません。
むしろ難しいからこそ、気づけるときに気づけたら、それだけで十分。
少し視点を変えてみると、
「相手がどうか」よりも「自分の内側にどんな気持ちがあるのか」
そこに目を向ける大事さが見えてきます。
パートナーは、私たちの心を傷つける存在ではなく、
ときに“気づき”を運んでくれる鏡なのかもしれません。
怒りや失望の奥に隠れている、自分の本音。
そこにそっと手を伸ばせたとき、関係も、自分自身も、少しずつ優しく変わっていきます。